特定非営利活動法人 ITC近畿会

経営情報システムの発展とIT投資評価方法の変化

ITコーディネータの藤原正樹氏が、「経営情報システムの発展とIT投資評価方法の変化」というテーマで、6回シリーズで連載していきます。

ITコーディネータ 藤原正樹氏

IT投資評価方法の変化とそれをめぐる論争

テーマの概要:
今回から6回程度の連載で、IT投資評価方法の変化とそれをめぐる論争を紹介します。
本稿の目的は、IT投資評価を巡る論争を整理することを通じて、今日、どのようなIT投資評価手法が求められているかを示すことにあります。また、IT投資効果を最大にするには、どのようなIT投資に関するマネジメントが必要とされるかを検討します。

  • 第1回:経営情報システムの発展とIT投資評価
  • 第2回:IT投資評価論の歴史的変遷
  • 第3回:“生産性パラドックス”を巡る論争が示したこと
  • 第4回:“もはやITに戦略的価値はない”とは?!
  • 第5回:IT投資評価からIT投資マネジメントへ
  • 第6回:IT投資におけるインタンジブル資産の役割

第5回:IT投資評価からIT投資マネジメントへ

印刷用ページ

 本シリーズも、第5回目を迎えました。今回のテーマは、「IT投資マネジメント」という考え方についてです。IT投資マネジメントを一言で定義すると「IT投資の計画・意思決定・事後評価の全体プロセスを効果的に管理することを通じて投資効果を生もうとするマネジメント手法」です。IT投資の経済性評価の精緻化を求めるのではなく、IT投資効果を最大にするためのマネジメントのあり方に着目する考え方です。

第4回:“もはやITに戦略的価値はない”とは?!

印刷用ページ

 前回・第3回では、“ITは本当に価値をもたらしているのか!?”をめぐる論争である「生産性パラドックス」についてふれました。そして、生産性パラドックスを巡る論争は、ITを競争力強化につなげるためには、マネジメントの変革と一体でIT投資を行うべきである、との結論で合意を得つつあると締めくくりました。
 今回は、「経営におけるITの役割は低下している」との主張を紹介します。その主張への反論を通じて、経営におけるITの役割を探っていきます。

第3回:“生産性パラドックス”を巡る論争

印刷用ページ

 第2回では、IT投資評価に関する研究の発展をたどりました。今回は、IT投資評価がなぜ問題になったか、その出発点を探ります。
 ノーベル経済学賞受賞者のR.ソローは、1987年、ニューヨークタイムズ紙の記事で「コンピュータの時代は至る所に見えるが、生産性統計には表れていない。」と述べ、IT投資と生産性向上に関する問題提起を行いました。コンピュータへの投資拡大は"バラ色の未来"を約束するとの見方が蔓延している時代背景を踏まえて、ソローの提起はさまざまな論争を生み出しました。これが、のちに"生産性パラドックス"を巡る論争と言われるものです。

第2回:IT投資評価論の歴史的変遷

印刷用ページ

 第2回目は、IT投資評価に関する研究を歴史的にたどっていきます。IT投資評価論は、情報技術(IT)そのものの急速な発展に止まらず、その利用形態の変化に合わせて発展してきました。そのため、経営情報システムの発展との対比でIT投資評価論の発展を見ていくとその特性がより明確になる。

第1回 経営情報システムの発展とIT投資評価

印刷用ページ

 今回から6回程度の連載で、IT投資評価方法の変化とそれをめぐる論争を紹介します。「このコンピュータを買うといくら儲かるか?」IT関連の仕事をしていると経営者からこのような問いを投げかけられ、答えに窮した経験を持つ方は多いと思います。ITへの投資が設備投資に比べ少額で、”先端的技術への試験的投資”と理解されていた頃は、投資対効果について、さほど問題にはなりませんでした。しかし、全設備投資に占めるIT投資の額が20%を越えている(図表:日本の情報化投資推移)今日において、IT投資は聖域とは言えなくなっています。ところが、IT投資の効果を株主や出資者に正しく説明できる経営者はどれだけいるでしょうか?