特定非営利活動法人 ITC近畿会

報告 第4回ITC近畿会セミナー

第4回ITC近畿会セミナーが2012年11月17日、以下の内容で実施された。
 
時間:13:00 ~17:00
場所:大阪市立いきいきエイジングセンター・第1研修室
主催:特定非営利活動法人ITC近畿会
後援:特定非営利活動法人 ITコーディネータ協会
 
第1部【13:10-14:40】講演「あなたの会社も儲かる体質に変わる」
   講師:枚岡合金工具株式会社 代表取締役会長 古芝保治氏
第2部【14:50~15:30】 「事例紹介」
 1.製造業の成功事例
   講師 三元ラセン管工業株式会社 代表取締役 高嶋博氏
 2.サービス業の成功事例
   講師 プロネット株式会社 代表取締役社長 神子大作氏
第3部【15:40-16:50】「パネルディスカッション」
   コーディネータ 松下永昌氏
   パネラー 高嶋博氏 神子大作氏 古芝保治氏

 

セミナ風景

第一部は、枚岡合金工具株式会社 代表取締役会長である古芝保治氏より、自社の生き残りをかけ実践されて来られた3S活動と、その中で開発された文書管理システム「デジタルドルフィンズ」の紹介を内容とするご講演を頂いた。
同社は、冷間鍛造用の金型の設計・製造・販売を業務としている。
講演では、いまでこそIT経営百選最優秀企業認定の他、いくつもの賞を受賞する会社になったが、古芝氏が経営を引き継いだ時、創業以来はじめて赤字転落し、早朝から深夜まで仕事に追われる日々が続く状態だった事、その状態打開の為、3S活動を軸とした「経営革新」に取り組まれてこられた事を熱く語られた。

徹底した3S活動の例:
整理:使っていないオフコンや、機械は全て廃棄 → 工場スペースが広くなった
整頓:バインダー、道具類の置き場所を決める。机の引出しの中も決められた場所に決められたモノだけ
→ 工具の取り出し時間、年間130時間削減
清掃:床面の清掃、天井の清掃を社員で実施  → ピカピカ、汚れ無し、ホコリ・チリ・ゴミ無し

情報の3Sにも着手、そこから「デジタルドルフィンズ」が生まれる。
情報の取出しの省時間、情報保管の省スペース化をねらい、製造業の命である図面を電子保存、キーワードを使って取り出す仕組みを実現、これが新しい事業に。

一般に企業内の仕事量は定型業務が80%、非定型業務が20%の割合と言われている。それらをこなすための人的労力は逆に非定型が80%に対して定型は20%と言われている。
デジタルドルフィンズは、非定型業務の効率化、省時間(「文書探す」という無駄な時間の削減)に効果
がある事、これまでの導入での実績など効果を紹介された。

第2部は、同社が商品化した「デジタルドルフィンズ」を販売して来られた実績の中から2社(製造業、サービス業)の事例を紹介頂いた。

製造業の事例として「三元ラセン管工業株式会社」代表取締役の高嶋氏より「すばやい顧客対応が会社を変えた!」と題し同社の取り組みを紹介頂いた。三元ラセン工業(株)はフレキシブルチューブ&ベローズの設計、製造を業務とする社員26名の企業である。

創業時は量産品を生産、卸売りの経営形態で売上の60%を3社で占める状態であった。1995年に競合他社との価格競争などで経営危機に陥り、経営戦略をそれまでと全く変え、①卸売を直販に、②量産品生産を個別受注生産に、③競争戦略を高付加価値戦略に転換、顧客満足度を高めオンリーワン企業を目ざし業績回復に成功した。

この業態変化により顧客数は数社から900社を超えるまでになり、その対応としてITを活用、直販でありながら「(顧客に)行かない営業」を指向するための「ネット受注」、「電話ボイスシステム」等の採用、SaaS型業務システム、グループウェアなどとともに文書管理システム:デジタルドルフィンズを導入された。製造業の命である図面をはじめ、見積書、受注書、仕様書などの取引書類からFAX連絡やメモまで、あらゆる文書を登録し情報共有を図っている。現在は登録数が14万件を超えているが、多彩な切り口のキーワードで素早く検索できるので業務の省力化に非常に役だっており業績に貢献している。

顧客満足は時間短縮と積極的な情報発信であり、それを実現するネットやITは中小企業に対する神様の贈り物であるとまとめられた。

サービス業の事例として「プロネット株式会社」社長の神子様より自社の取り組みを紹介頂いた。
プロネット(株)は損害保険、生命保険の代理店で社員数7名の企業である。
保険業は公的な規制が厳しく業務の手順や管理方法が細かく決められており、それらに基づいて準備された仕入先の各保険会社システムを使って業務を行わなければならない。自前でのシステム化投資の必要が無いメリットがある反面、自社内の独自の業務改善、効率化が自由にしづらいと言うデメリットがある。
そんな背景の中で、「デジタルドルフィンズ」を導入、効果を挙げておられる。保険契約時に顧客からの契約範囲や条件に関する「告知事項」などは、保険会社システムでは「告知事項申告書の通り(別紙参照)」とだけ入力され、実際の内容は代理店に文書保管される形になっている。年々増えるこれらの顧客との「契約内容文書」を的確に管理し、必要な時点で素早く取出せる仕組みのために「デジタルドルフィンズ」を活用されている。
社員数の少ない中小企業において、導入後短期間で使えるシステム、新入社員が翌日から使えるシステムが望まれる。その観点でみてもデジタルドルフィンズは非常に良く出来ていると評価された。

第3部はパネルディスカションで、講演者3氏がパネラーとなりおのおの自社のIT化の振り返りや、IT課題についてディスカション頂いた。
「IT活用」に関して、高嶋氏から当初、自力主義で販売管理システム化に取組み、膨大な時間と費用をつぎ込む事になった経緯があり、以降ITCなど専門家に相談するようにした事、古芝氏はご自身の失敗を例にしたバックアップの重要性の話、「デジタルドルフィンズ」開発時に経験した「顧客からクレームの受取り方:クレームは商品の品質を上げ、会社を進化させ、顧客との信頼をつくる種」について話された。
「ITCがお手伝い出来る事は」では、「中小企業はIT投資余力が無い、各種の支援制度を紹介し支援して欲しい」、「(中小企業では)ITは時間の節約ツールとして役立てる、そうで無い場面はアナログのままで」等の話題などが出た。
ディスカションの中で神子氏が話された「私はITCの資格制度、役割を今日始めて知りました。今後機会があれば相談にのって頂こうと思います」と言われた事がセミナーに参加されたITCの方々に一番印象に残ったのではないだろうか。

セミナー参加人数は38名と前回に比べ少なかった。(雨が降ったせいか、当日のドタキャンが目立った)
参加者からのアンケート結果は「非常に役立った」が62%、「普通」が37%であった。個別の感想とし以下の意見があった。

第1部講演について、
① かなり前にデジタルドルフィンの紹介をお聞きしましたが、その頃に比べて格段に充実されていて、その期間に相当努力されたノだろうと感じました。
② ユーザーに紹介してみたい
③ 熱意が感じられた
④ 3Sの効果を実感した
⑤ 会社改革の事例として参考になりました
⑥ 3Sの重要性に気づきました。有り難うございました
⑦ 協業したい

第2部講演について
① 量産品をやめる決断、受注生産でどうして採算がとれるのか教えて欲しい
② 業種を問わずデジタルドルフィンを活用出来る事が理解出来た

パネルディスカションについて
① 生の声をお聞きし、製品だけでなくIT業界に関するお考えもしっかり持たれていることを改めて認識致しました