ウ.テンプレート方式(レベル2企業向け)
4つの視点における戦略目標の設定は、なかなか決断しにくい場合がある。その際、「図表7 戦略目標のテンプレート」を参考にして、その企業の目指す戦略目標をつくっていくと、安心感をもって円滑に構築できた。
しかし、テンプレート方式は、戦略目標を決めつけているので、最初からこの方式をとると発想が固定化し、その企業の独自性を阻害してしまう危険性がある。そのため、コンサルタントが、手元資料として持っておく程度にとどめておくのがよい。
図表7 戦略目標のテンプレート
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視点 |
視点 戦略目標のテンプレート |
| 財務の視点 | 売上高の増大、経費の削減、利益の増大 |
| 顧客の視点 | 顧客の満足 |
| 業務プロセスの視点 | 品質、価格、リードタイム |
| 人材と変革の視点 | 個人のスキルアップ、チームワーク |
エ.戦略マップの立案(全レベル企業向け)
上記の方法で戦略目標が抽出できたら、図表8のように、4つの視点にわけてそれぞれの因果関係を明記した戦略マップに仕上げる。
図表8 戦略マップ
戦略マップ作成にあたっては、戦略目標間の因果関係を確認する必要がある。
◎How toチェック
財務の視点の戦略目標(目的)を、顧客の視点の戦略目標(手段)で達成できるか、
◎Whyチェック
顧客の視点の戦略目標(原因)で、財務の視点の戦略目標(結果)を達成できるか
を検討して、整合性を確認する。
この整合性を確認する作業を通じて、BSCの狙いが理解できてくる。
オ.評価指標および数値目標の設定(全レベル企業向け)
視点ごとの評価指標は、つぎの事項に留意しながら設定をする。
・戦略目標と重要成功要因の達成度を評価出来る指標
・誰にでも分かりやすく、明確な指標
・測定評価ができる指標
上記の2項目を満足する指標は、戦略目標と重要成功要因を突き詰めていくと設定することは出来るが、3項目目の測定評価が手間をかけずにできるかが、課題になる。
これまで、そのような評価指標で管理をしてこなかったので、数値を把握できていない状況に直面することは多い。新規顧客数、クレーム件数、提案件数など、本来管理に役立てるべき項目が、把握されていない現状を、経営者に認識してもらうことも必要である。
評価指標が重要と判断される項目であれば、手間をかけずに測定評価できる方策を、関係者の協力と智恵をあつめて検討する。
「図表9 評価指標サンプル一覧表」を参考にしながら、設定していくのも方法である。
図表9 評価指標サンプル一覧表
出典 吉川武男教授著 「バランス・スコアカード構築」
カ.アクションプランの立案(全レベル企業向け)
アクションプランは、数値目標を達成するための具体的行動計画である。
トップダウンで戦略目標が示され、戦略マップで戦略目標の因果関係が明確になり、数値目標が設定されると、社員として行動すべき方向や達成レベルの高さがわかってくる。アクションプランは、そのような状況で、幹部社員、一般社員が参加して立案していく。思いつきで改善活動をすすめていくのと、BSCの戦略マップをもとにベクトルをあわせて、アクションプランを立案していくのとでは、参画意欲や成果の出方がまったく違う。
BSC構築支援に立ち会っていて、アクションプラン立案段階は、組織が活性化してくるのが実感できる、すばらしい時間帯である。
アクションプランの立案は、5W2Hにもとづき行うことが必要である。
目的(WHY)
テーマ・目標(WHAT)
方策(HOW)
責任者(WHO)
納期(WHEN)
場所(WHERE)
費用(HOW MUCH)
BSCは、少なくとも、半年に一度、数値目標の評価をして、未達成部分を年度末までに達成できるように運営していく。
キ.BSCの組立て
これまでBSC作成の手順を踏んで検討してきたので、それをBSCに組み立てる。H社のBSCは図表10のようになった。BSCにまとめてみると、戦略マップにより、すべての戦略目標が利益増大に向かっており、戦略から導き出されたアクションブランと評価指標が体系的にまとまっているので、これからこの会社の向かう方向が明確になっていることがわかる。
社員の意見では、これから進むべき方向と方策が一目でわかるし、すべての活動が利益の増大に向かっているという実感をもったと評価をしていた。
図表10 H社のBSC
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